Sabishii-Room.

ここに答えはありません。

高速バスに乗ったら聴きたくなる音楽の話。

 わけあって数日、実家のある宮崎へ帰省していた。この文章は、福岡への帰りの高速バスの中で書いている。外は雨。

 相対性理論というバンドが好きだ。高校生のとき、不思議な歌詞と、ボーカルのやくしまるえつこによるウィスパーボイス、中毒性のあるメロディに魅力を感じて好きになった。中でも「ハイファイ新書」というアルバムの1曲目に収録されている「テレ東」という曲が好きで、高速バスに乗ると、つい聴きたくなってしまう。

 高校の修学旅行で初めて東京へ行ったときのこと。移動のために乗った高速バスから夜景を眺めているとき、頭の中を流れてきた曲が「テレ東」だった。「歌詞の中に、バスで走る描写や夜景といった単語が出てくるわけではないのに、なぜこの曲が?」と不思議に思いつつ、「でも今はこの曲で正解だ」という説明できない納得があった。たしかそのとき、大半のクラスメイト達は疲れて眠っていたように思う。静まり返る車内と、その外側にある東京の華やかさ、そして楽しい時間もいつかは終わってしまうという切なさを満たす曲が、当時の僕の中には相対性理論の「テレ東」という曲しかなかったのだと思う。今、あの日のバスに乗ったら、僕の頭の中を流れる曲は、おそらく違う曲なのだろう。

ハイファイ新書

ハイファイ新書